卵細胞の分割と中心体

細胞が分裂するときに、まず染色体が2つに分かれます。細胞の中には中心体があります。
2個の中心体から糸のようなものがのびて、各染色体を両側に引っ張ります。(中心体から糸がのびたものを星状体といいます)
染色体が中心体に引き寄せられて細胞の両側に並ぶと、中央で細胞が分裂して2個の細胞になります。
この中心体は細胞の分裂に必要なものと考えられますが、実は受精していない卵子には中心体はありません。
では、中心体は何処からくるのかというと、精子が持ってくるのです。
ところが精子の中には中心体が不完全なものがあります。
中心体が不完全な精子は、6000倍の顕微鏡でみると、精子の頚部が太くなっています。
正常な精子では星状体の出現率は82%であるのに、頚部が太くなった精子は17%と非常に低い出現率になります。
星状体は、細胞分裂を開始したときに中心体が変化するもので星状体の出現は細胞分裂が開始されたという意味になります。
体外や顕微の時に、卵の質ばかり重視されますが、精子の質や免疫のバランスもとても大切です。
採卵した卵は悪くないのに、いつも分割がとまってしまう場合は、精子の質も考えてみると良いでしょう。

卵胞と卵について。

卵胞と卵(卵子)を混同されてみえる方も結構あるので、ちょっと説明しておきます。
卵巣の中で膨らんできて排卵前に20mmくらいになるのは卵ではなく卵胞です。
卵胞は卵を入れる袋のようなものです。
卵胞の中は栄養がつまった液体で満たされています。
卵胞が急激に大きくなるのは細胞が育つからと言うより、中の液体が増えるからです。
卵は0.17mmくらいの大きさです。
これは小さすぎて超音波ではうつりません。
卵胞のへりにこびりついてきて、排卵前に浮き上がって、排卵時には卵胞液とともに卵胞外に排出されます。
排出された卵は、卵管の先端部、卵管采にとりこまれ卵管内で受精します。
一方、卵を排出した卵胞はしぼんで黄体に変わります。
黄体からは黄体ホルモンが分泌され、内膜を着床に適した状態にしていきます。
卵胞の状態が良いと卵の状態も良い事が多いのですが、必ずしも卵胞の質と、卵の質が同じとは限りません。
採卵の時に小さい卵胞からとれた卵が意外に質がよかったりする事もあります。
ただ、卵胞液の状態が悪いと卵子の質を悪くする可能性はあります。
特に、糖質のとりすぎは卵胞液の中の糖を多くして卵子の糖化を起こす可能性があります。

治則 宿寒

宿寒の治則は、もし寒邪が経絡に服している場合は温経散寒になります。
たとえば桂枝加朮附湯などを使います。
寒邪が下腹部に宿している場合、寒凝血淤という症状になる事が多くあります。
寒邪が宿する事で、下腹部に淤血が出来てしまうためです。
この場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯がよく用いられます。
同じ冷えでも腎陽虚の場合と使う処方が異なってくる事が注意点です。
また腎陽虚の主な症状は冷えであるのに対して宿寒の場合は痛みを伴う事が殆どというのが区別点です。
ただし、寒邪が長く去らない理由の一つには腎陽虚があります。
ですから、去寒だけに注意をむけるのでなく、補腎陽も考えて治療していく事が大切です。

原因不明の不妊症で、中医学的には宿寒が原因の事はよくあります。
冷えると血流が悪くなり、骨盤内に瘀血がたまります。
この状態が寒凝血瘀です。
一番の特徴は生理痛で、温めると楽になります。
生理の色は黒っぽくなり、塊が沢山でます。
同じような症状で、血熱や瘀血も考えられますが、舌や脈などで正しく判断する事が大切です。

宿寒があると、骨盤内が冷えて、子宮や卵管の動きが悪くなる事も考えれます。

頚管粘液

おりものにも色々と種類があります。
出た方が良いものと、あまり出ない方が良いものがあります。
出た方が良いものとして、排卵の少し前くらいに、透明、時に白色で、長く伸びるおりものが出ます。
これは頚管粘液というものです。
頚管粘液は精子を通しやすくする役割があります。
中医学的には、もう一つ意味があります。
身体の中には「津液 しんえき」という栄養が沢山含まれた液体があり、身体を潤していると考えます。
いろいろな粘液はみな津液の一部分です。
ですから、頚管粘液も津液の一部分です。
津液は卵胞の中にもあります。
卵胞の中は、栄養の沢山入った液体で、中医学的な分類では津液の一部分です。
つまり、津液がたっぷりある人は、頚管粘液も多く、卵胞の中身も良いという事になります。
ですから、不妊症を中医学で治療する場合は、頚管粘液の量を重視します。
ただ、おりものにも色々なものがあります。排卵の頃の粘るおりものがあれば、大丈夫です。

あまり出ない方が良いおりものとしては、さらさらした水のようなおりものは、津液というより余分な水の可能性があります。
特に冷えやすい体質で、かつ余分な水がある人に多くみられます。
また、動いた時に尿もれのように出る場合は、着床などに影響する可能性もあります。

妊娠と漢方薬

なかなか妊娠しない方で、漢方薬を飲みたいという方がとても多くなっています。
その場合の注意点をいくつかあげてみます。
漢方薬はホルモン剤のような即効性はありません。
それを飲んだからといって、すぐにその周期から基礎体温が綺麗になるとは限りません。
また、子宮や卵巣は目には見えない部分ですから、変化も解りづらいものがあります。
ですので、体質にあった漢方薬をまずは3ヶ月は続ける事が大切です。

卵胞は赤ちゃんの頃から卵巣にあり、排卵の順番を待っています。
順番が来ると卵胞は膨らみ始めます。
そして膨らみ始めてはら排卵すまで、何と6ヶ月半もかかっています。
始めの4ヶ月くらいは、FSHの影響をうけない自発的な成長です。
後の3ヶ月くらいはFSHの刺激により卵胞は膨らんでいきます。
この3ヶ月が卵胞の成熟にとても大切な時期です。
ですから、卵を良くしたいなら、最低3ヶ月かかると言う事です。
周期療法の場合で、今月は夫婦生活のタイミングがとれなかったからといって、高温期の漢方薬を飲まない場合があります。
しかし、高温期用の漢方薬はその周期の為だけでなく、排卵の順番を待っている全部の卵胞の為にあります。
ですから、なるべく忘れないように飲む事が大切です。

また、すべてが周期療法で解決する訳ではありません。
排卵障害のある場合、多嚢胞性卵巣、高プロラクチン、卵管の閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫、内膜のポリープ、受精障害、着床障害、不育症など
周期療法があまり適さない場合もあります。
このような場合は、中医学的には、痰湿や瘀血というような、体内の汚れや、気の流れの問題が大きいため、汚れを綺麗にしたり気の流れを改善したりするような漢方薬を使っていきます。

不妊症のご相談をされる時は、ぜひ、不妊症に詳しいお店を探して見て下さい。

抗内膜抗体

不妊症の一つの原因として、自分の内膜に対する抗体が出来てしまう事があります。
抗内膜抗体が出来ると、内膜が厚くなりにくかったり、着床しにくくなったりします。
ですから、抗内膜抗体を無くす事は妊娠にとって重要です。
ただ、残念ながら内膜に対する抗体の検査は日本では殆ど行われていません。
しかし、中国ではかなり頻繁に行われている検査です。
例えば中医雑誌でも抗内膜抗体が陽性の人に漢方薬を2ヶ月のんでもらい80%の人が陰性になったという報告が載せられています。
原因不明の不妊症の中にも、抗内膜抗体陽性の場合があるように思います。

日本ではこれに近い検査として、慢性子宮内膜炎の検査をする病院があります。
CD138免疫染色という方法で検査しています。

妊娠中はリラックスを

なかなか妊娠できなかったのが、やっと妊娠出来た。
そんな時、妊娠中は、流産が心配で心配でとなります。
勿論必要な流産予防の対策は必要ですが、ただ心配だけするのは意味がありません。
そればかりか、逆効果になり、自分で自分の首をしめる事になります。
心配しすぎると子宮の中のラセン動脈が収縮して胎児への血流が少なくなる事が解っています。
良い音楽を聞いたり、好きなアロマをたいたりしてリラックスしましょう。

ピロリ菌と不妊症

最近、不妊症の原因の一つとして注目されているのがピロリ菌。
ピロリ菌をやっつけるための抗体が精子もやっつけてしまうのです。

ある論文によれば、女性がピロリに感染すると、頸管粘液が精子の運動性を阻害してフーナーテストが悪くなる。
抗ピロリ抗体の影響で受精障害を起こしやすい
また男性でも精子運動率が低く精子形態異常が多くなる
などが指摘されています。

生理の量

黄体ホルモンは内膜を柔らかくする働きがあります。
ですので、高温期が綺麗だと、生理の時の内膜の剥がれがよくなり生理の量が少なくなる事があります。
反対に内膜が硬いと剥がれにくくなり、引っかかって、生理の量が多くなります。
この時、子宮は頑張って内膜を剥がそうして生理痛がおこります。
ですので、生理の量は多ければ多い方が良いという事はありません。

嬉しい報告

妊娠中、出血しやすい方からメールをいただきました。
一人目の時も大変で、今回も心配しましたが何とか出産にこぎつけました。

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この度〇〇日に、予定帝王切開にて、男の子を出産しました。
たくさんの質問にもご丁寧にお答え頂き、本当にありがとうございました。
不妊からの流産、出産、流産、出産と…。
今まで本当にお世話になりました。
ここまで乗り越えてこれたのも、先生のおかげです。ありがとうございました。