車轍中水

赤龍浴水ほどではないけども、こちらも摩訶不思議な水です。
その名のとおり、車のわだちの凹みに溜まった水です。
5月5日に汲むと良いようです。
牛の蹄の跡に溜まった水でも良いとの事です。
どちらもあまり飲みたくないです。
主治は、癧癰風となっています。瘰癧とか、癰疽などでしょうか。
風というのは、痙攣を起こしている状態かもしれません。
とても効くとは思えない物です。

地漿

黄土に穴を掘り、水を入れかきまぜたものを汲んで、しばらく放置して透明になったもの。
黄土の成分が含まれていると思われます。
効能としては笑い茸を食べて笑いが止まらない人に良いとなっています。
本当に効くのでしょうか?
効いたら凄いですね。

熱湯

当たり前ですが、熱湯は身体を温め、経絡を通じます。
「百沸湯」とも「太和湯」とも言います。
霍亂(コレラのような吐き下し)で筋肉が痙攣するものを治すとあります。
薬ではないですが、場合によっては起死回生の効果もあるかも知れません。
なぜか、本草綱目では、「中途半端に沸騰したものを飲むと元気を損なう」とあります。
そんなもんでしょうか?

生熟湯

別名、陰陽水。
これは、すごい水です。
作り方は簡単で、熱湯と冷たい水を混ぜたものです。
熱湯は陽、冷たい水は陰ですから、これをまぜて陰陽を調和する働きがあります。
陰陽が通じないと、清気は昇らず、濁気は降りないため、吐き下しがおこります。
この時に陰陽水で、陰陽を調和されると、清気が昇り、濁気が降ります。
中医学の理論では、このようになります。
ただし、実際の効果が何処まであるのかは、私には解りません。

漿水

漿は酢の事です。
炊飯した粟や米を冷水に5-6日浸しておくと酸っぱくなり表面に白い泡のようなものが浮かんできます。
李と一緒にとると、吐き下しになるので、一緒にとらないようにと、注意書きがあります。
胃の働きを良くして、喉の渇きを止め、吐き下し、消化不良に良いとあります。
お粥にして夕暮れに飲むと、よく眠れるそうです。
また美白の効果があると書かれています。
発酵食品はやはり身体に良いのですね

磨刀水

今回は磨刀水です。
その名のとおり、刀のとぎ汁です。
効能は、尿が出ない時に使います。
あと、肛門が腫れて痛む場合も良いとあります。
毒蛇にかまれた時にも良いようです。
耳の中が急に痛い時、耳に少し注ぎ込むといいと書かれています。
効能の程は解りませんが、現代では全く使われていません。

浸藍水

これは、藍染めの水です。
藍は、板藍根として、清熱解毒の作用があります。
現在ではインフルエンザなどウイルス性の疾患に多用されています。
藍染めの水ですから、当然、板藍根と同じ作用があります。
効能は、徐熱、解毒、殺虫、喉の痛みとつかえに良いとあります。
本草綱目には、その後に面白いエピソードが書かれています。
「昔、ある人が酔っぱらって、田んぼの水を飲んだら、間違って蛭(ヒル)も一緒に飲み込んでしまった。
 胸やお腹が張り痛み、顔が黄色くなった。色々な医者にみてもらったが効果が無い。
 ある宿屋で、非常に口が渇いていたので、間違えて藍染めの水を飲んでしまった。
 そうすると、何回も下痢をした。下痢の中には無数の蛭が入っていた。
 病も頓挫に癒えた。」
とあります。蛭は活血薬ですが、さすがに生きたまま飲み込んではいけませんね。

明水

明水は、淡水の大きな貝の中の水です。
月明かりの夜、これを捕まえて中の水2-3合を得ます。
目を洗えば、目がはっきり見えるようになり、これを飲めば、安神作用があり、子供の煩熱を冷ますとあります。
月明かりの夜にとらないと効果が無いかというと多分そうではなくて、暗い中での作業のため月明かりがあった方が良いという事でしょう。
では、昼にとったらどうなるかというと、それは解りません。
何かきっと夜の方が良い理由があるのでしょう。

冬霜

冬霜があるので、夏霜があるかというとそうでなくて、冬霜はただの霜です。
霜柱をとって、鳥の羽で掃いて綺麗にし、瓶に保存します。
甘、寒、無毒。
「これを飲むと酒熱を解す。酒を飲んで顔や耳が赤い時、これを飲むとたち所に赤味が消える。」
今なら氷水でしょうけど、冷蔵庫が無い時は、それも良いかも。
夏のアセモや、脇の下が赤く腫れる場合に、淡水貝の殻の粉とまぜて使えばたち所の効果がある、とも。
さらには、発熱、マラリア、鼻づまりなどにも応用されています。
しかし、所詮水ですから、そんなにたいした効果は期待出来ないでしょうね。

腊雪

中国語で腊月というと、旧暦の12月を意味します。
『本草綱目』では、冬至の後、三回目の戊(つちのえ)を腊と言うと書かれていますから、まあ旧暦12月ころでしょう。
野菜や麦の虫を殺す、つまり農薬のような役目をする。
密封しておけば、10年腐らないと。
また果物をつけておくと虫がわかない。
などと書かれています。
本当にそんな効果があるのかかなり疑問です。
効能も「一切の毒を解す、流行している疫病、子供が熱で発狂するような場合、結石、お酒の後の熱、黄疸を治す。」
とあります。
やはりちょっと無理があります。
『本草綱目』は学術的には高い評価があります。
ただ、迷信的な記載もかなりありますから、盲信しない事が大切です。
たとえば雪は六角形なので陰の成数。とかかれています。
陰陽の考えでは奇数は陽、偶数は陰です。
その中でも陰の代表が6で、陽の代表が9となります。
占いなどでは多用されている理論ですが中医学としては必ずしもあてはまりません。