漢方は医療なのか文化なのか?

漢方は病気を治すという目的では医療そのものです。
ただ、もう一つ、漢方には文化という側面も持っています。
日本では医療の一部としてしか漢方は考えられていませんが、中国、台湾、韓国では違います。
その国の文化として、しっかりと根付いています。
例えば韓国。何処に行っても「鹿茸」や「人参」が見られます。
料理の中にも人参をよく使っています。
そして、韓国人のうちの半分くらいの人は病気でなくても健康維持や美容のために何らかの漢方薬を飲んでいるそうです。
台湾とはというと、野菜を売るように漢方薬を売っています。
また、青汁のような漢方ジュースもあります。
この生薬にはこういった効能があるという事もよく知られています。
つまり健康維持として漢方は広く普及しているのです。
これらの物は長い歴史の中でその国の文化として根付いています。
日本では残念ながら漢方の普及率は高くありません。
また漢方は医療の一部で文化と言える程、国民に支持されていません。
いつか日本にも漢方文化が根付くと良いと思っています。

難産のお札(おふだ

験方新編という清の時代の書物に難産の時のお札(おふだ)の書き方が記載されています。
験方新編はれっきとした中医学の古典で、とても有用な書物です。
では何故、このような非科学的なお札の書き方が記載されていたのでしょうか?
難産は、現在では帝王切開がありますから直接命にかかわるケースは少なくなっています。
しかしまだ清の時代は帝王切開の技術がありませんでした。
この為、難産で命を落とす女性は沢山いたと思われます。
勿論、難産の漢方処方は沢山あります。
しかしやはり飲み薬では限界がありました。
人間は限界になると、何かの心理的なよりどころが必要になります。
こうしたお札で、少しでも心理的な負担を軽くしようとしたのでは無いでしょうか。
さすがに現代中医学ではお札の書き方までは勉強しません。
このような迷信的なものを単純に非科学的と頭から否定しないで、時代の流れの中で、
どうしてこの時代にこのようなものが必要とされていたかを理解する事も中医学を学ぶ者として大切だと思います。

放長線釣大魚

中国では有名な諺です。
ここでの線は釣り糸の意味です。
直訳すれば、「長い釣り糸を放ち、大きな魚を釣る」の意味になります。
長い釣り糸を放つとは、「あわてないで、準備万端調えて、じっくりと獲物を狙う」の意味です。
そのようにすると、大物がつれるという意味です。
日本語の「急いては事をし損じる」に近い意味もありますが、微妙に違います。
何故、これを取り上げたかというと、あわてないで漢方の不妊治療に取り組んで欲しいという思いがあります。
排卵誘発剤で、お手軽な排卵を狙うのも良いですが、しっかりした体質改善で妊娠という大魚を狙うのも良いのではと思います。

人挪活,樹挪死

今回は中医用語でなくて、一般の中国語です。
「挪」は、移動するという意味です。
人は、同じ所にずっと止まっていると飽きてきます。
ですから、適度に環境を変えて気分転換する事が大切です。
これに対して、樹木は、植え替えを何回も行うと枯れてしまいます。
つまり、「人は皆、チャレンジ、チャレンジ」ですね。

陰陽二字、固以対待而言、所指無定所

意味としては、「陰陽という事柄を意味する2文字は、もとより比べてみて言えることで、決まった物を指すわけではない」となります。
元の時代の朱震亨という人が述べたものです。
中医学を学んだ人は、よく血は陰で、気は陽といいます。
また低温期は陰で、高温期は陽といいます。
しかし、絶対的な陰と陽は存在しません。
2つのものを比較して始めて、どちらかが陰、どちらがが陽となります。

車到山前必有路

この言葉は必ずしも中医学の言葉ではなくて、中国語ではとても有名なことわざです。
山を遠くから見ていても、そこに山を越える道があるかは解りません。
しかし、まずは山に近づいてみると、必ず何処かに道があるよという意味です。
何か困難にぶつかった時、心配しない困難に向かっていけば、必ず解決の方法が見つかるという意味です。
もう少し気楽に、「まあ、なんとかなるさ」という意味にとらえても良いでしょう。
日本語で「案ずるより産むが易し」という言葉と共通しています。
「当たって砕けろ」よりも、スマートだと思います。
私のとても好きな言葉です。

上善若水、下愚如火

脈診について一段落しましたので、今日から中医の名言についていくつか解説しようと思います。
第1回目は「上善若水、下愚如火」です。
中医の養生について述べたもので、養神(こころを養う)事の大切さを述べています。
養神のキーポイントは「静」にあります。
心を水のように静かに落ち着かせる事が養生として大切で、火ようにいつも怒っていてはなかなか養神は出来ないという事です。
素問では、「人静则神气内藏,含蓄不露;躁动无度则神气消亡」
「人間は静かなら神気を内蔵して外には見えない、騒がしいと神気は消耗して身体や命を損じる」と述べています。
理屈はとてもよくわかりますが、実際にはなかなか難しい事ですね。

黄色は中央

五行を方角であてはめると、北は黒で水(腎)、南は赤で火(心)、東は青で木(肝)、西は白で金(肺)になります。
そうすると、黄で土(脾)の部分が余ってしまいます。
そこで、黄土をなんと中央にあてあめます。中央って方角なの?と思いますが、中央は方角の中で一番偉く東西南北を支配しています。
ですから、中国の皇帝は、黄帝といい、いつも黄色い服を着ています。
五行を数であらわしたものを生数といいます。水は1、火は2、木は3、金は4、そして土は5です。
土は中央で、四方に影響力をおよぼします。
ですから、水の1は、中央5の影響をうけ、5+1で6になります。これを成数といいます。
他の方角も同じです。
これを別な見方からいうと、5は脾で、後天の代表です。
人間は先天的な部分と後天的な部分をもちあわせています。
ですから、先天の部分に後天の部分をあわせて成数とします。
ちょうど脈診で、後天の胃気はすべての部位に現れる事と似ています。

落花生のおまじない

中国では赤ちゃんが早く欲しい時に、枕元に「ナツメ」「落花生」「竜眼肉」「蓮の実」を起きます。
それぞれ中国語で大棗、花生、桂円肉、蓮子と言います。
一文字ずつとると「棗」「生」「桂」「子」で、中国語の発音は「早生貴子」と同じ。
「早く子供が生まれる」の意味になります。
こんな飾り物もあります。

何故逆さまに?

よく中華料理のお店などで「福」の字の張り紙が逆さまに貼ってあるのを見たことがありませんか?
間違えたのではなく、わざとです。
私のお店にも貼ってあります。
逆さまは「倒 dao」で「到 dao」の発音と同じです。
つまり「福倒」は「福到」 福がやって来るという意味です。

乾と坤

中医学の理論の中で陰と陽の理論はとても大切です。
陰と陽の理論は、中医学だけでなく中国哲学のあらゆる分野で見られます。
特に八卦という概念は、占いで有名ですが中医学の分野でも基礎的な概念を説明するのに役立っています。

八卦の理論では宇宙の始まりは「太極 たいきょく」と言われるものです。
この状態は陰も陽もない混沌とした状態です。
太極が動じて陽を生み、太極が静まって陰を生みます。
この状態を「両儀 りょうぎ」と言います。

両儀は純粋な陰である「坤 こん」と純粋な陽である「乾 けん」で出来ています。
これを記号であらわすと坤は – – で 乾は - となります。

私達の住む世界は、この宇宙の始まりである純粋な陰と陽は存在しません。
概念としてはあるのですが、実際にはどんな陽にも多少の陰は含まれていますし、どんな陰にも多少の陽は含まれています。
例えば陽の象徴である火の中にも水蒸気という状態で陰である水を含んでいます。
また陰の象徴である水の中にも温度という状態で陽を含んでいます。
ですからこの世の中には純粋な陽や純粋な陰は存在しません。

パンダの雑誌に掲載されました。

日本中医薬研究会はパンダの名付け親として毎年いくらかの寄付をしています。
今年で11年目になります。
昨年の秋、四川に行った際にパンダ基地に立ち寄りましたら、盛大な歓迎会を開いて頂きました。
その様子はパンダの雑誌にも掲載されました。
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【日本中医薬研究会がジャイアントパンダ”冠元”を継続して養育】

2014年9月14日 日本中医薬研究会がジャイアントパンダ”冠元”の養育継続セ
レモニーが成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地で行われた。
当研究会は2003年よりジャイアントパンダ”冠元”を養育のために募金を行い、
すでに11年になる。研究会会長深谷彰団長以下随行した4名の日本の友人は皆ジャ
イアントパンダの”ファン”で、彼らは”冠元”を養育すことを通し、微力なが
らジャイアントパンダのし保護に役立ちたいとのことである。

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私は中医薬研究会の会長ではなくて副会長です。
ただ、中国では副会長も会長と言うようです。