六鬱

中医学で鬱とは流れが悪い状態を言います。
鬱という漢字を10回書けと言われたら鬱になりますね。
この漢字の下の部分はお米を発酵させてお酒を作っている様子です。
それに蓋をして2つの木と缶でおもりをして香りが逃げないようにしています。
つまり香りを閉じ込めている様子です。
閉じこもって流れが悪い状態です。

中医学では6種類の鬱があります。
気の流れが悪い気鬱
血の流れが悪い血鬱
脂や粘っこいものの流れが悪い痰鬱
水の流れが悪い湿鬱
食べたものが消化しない食鬱
そしてそれらが長く続くと熱がこもって火鬱となります。
火鬱は冷やすと余計に流れが悪くなるので、発散する事が大切です。

胃と脾

食べたものを消化する場所というと、まず胃を思い浮かべますが、中医学では食べたものを消化するのは脾という場所です。
胃は、食べたものを入れる器で、消化は脾でおこなわれます。
食べたものは、まず胃に格納させ、そこから脾に運ばれて、消化(運化)がおこなわれます。
ですので、中医学では胃と脾を明確に分けています。
脾の気は上がり、胃の気は下がる性質があります。
脾の気が上がらなくなると、栄養が肺に運ばれなくなります。また、栄養が下に漏れて下痢になります。
胃の気が下がらなくなると、胃がつまった感じになり、吐き気が出、時に嘔吐します。
脾は湿を嫌い、胃は燥を嫌います。湿気の多い状態ですと脾の消化の力が無くなります。また胃が乾くと胃液が出なくなります。
ですので、胃腸の病気の場合は、問題が脾にあるのか胃にあるのかを考える必要があります。
太りやすい体質の人は、胃強脾弱の場合がよくあります。受け皿としての胃は丈夫なので、どんどんと胃に食品を溜め込みます。
しかし、脾が食べたものを運化しないので、体の中に脂肪や水として蓄積されてしまいます

数脈

中医学でいう脈の一つに数脈があります。
数脈と書いて「さくみゃく」と読みます。
見てのとおり、通常より早い脈です。
数脈の原因は中医学では「熱」とされています。
つまり体内に熱がこもっている場合によく数脈が現れます。
例えば風邪をひいた時やアルコールを飲んだ時などです。

この他、中医学の教科書にはあまり記載されていませんが、臨床的には気虚の場合が多くあります。
気虚、特に心気虚があると、心臓のポンプの力が弱くなります。
つまり心臓に余裕が無くなります。
そうすると、心臓が一生懸命働くので、脈拍は多くなります。
ただ、1回に送り出す血液の量は少ないので、血流としては普通です。
おなじ理由で、血虚がある場合も心臓は少ない血を一生懸命流そうとするので数脈になります。
血虚の場合は心臓が空回りしてしまい、動悸がおこる事もあります。

脈の強さ

一番的には、脈が強いのは実で、弱いのは虚となります。
例えば、気虚は脈が弱く、血虚では脈は細くなります。
しかし、例外もあります。
例えば、肺気が不足すると、肺(金)は、肝(木)を抑える事が出来ず、肝木が暴れ出します。
このような場合は弦脈になる事が多いです。
この時、肝気を抑えるものに、肺金を補うものを使う必要があります。
よく使われるのが黄耆を含む製剤です。

柴胡と升麻

中医学的に見ると、体の右半身と左半身では違いがあります。
左は血にかかわりが深い部分で、上から心、肝、腎陰となります。
右は気と水にかかわりが深い部分で、上から肺、脾、腎陽(命門)となります。
左に心臓があるので、血にかかわる部分を左半身に納めたのでしょうか。
この為、肝は実際には右半身にあるのですが、中医学では左に配置されています。
「肝は体(実体)は右にあるけども、その用(働き)は左にある」と、なんだか屁理屈っぽい事を言っています。
気を上に持ち上げる作用のあるものに、柴胡と升麻があります。
柴胡は、少陽(胆)の気を左から持ち上げます。
升麻は、陽明(胃)の気を右から持ち上げます。
ですので、左側の気が上がらない場合は柴胡を右側の気が上がらない場合は升麻を使います。
しかし、実際には右左の区別はつきにくい事が多く、柴胡と升麻は併用される事が殆どです。
でも、柴胡と升麻にはこのような差があるんだよという事は知っておくと良いかも知れません。

いろいろな火

体の中には色々な火があります。
体にとって必要な火もあれば、体に害をなす火もあります。

体に必要な火は、相火と君火に分かれます。
君火は、心の火で、体の中では一番協力で強い火です。
心臓の鼓動のエネルギーになっている他、胃に働き消化を助ける火になっています。

相火は、心以外の臓腑にある火で、どの臓腑にもあります。
ただ、腎の中の火は、真火といい、相火の中でも特に重要視します。
それは、真火は先天の火で、父母からうけついだ火だからです。
腎の火ですから、生殖とも深い関わりがあります。

火は、少しずつ燃えるのが良いとされています。
中医学では「壮火食気、少火正気」という言葉があります。
火が燃えすぎると気を消耗してしまいます。
ちょうど良い強さの火は、気を生み出します。

陳久瘀血

中医学では血の汚れを淤血(おけつ 瘀血)と言います。

瘀血にも程度があります。
血管の中の血液の汚れも瘀血です。
しかし、血管の外にあるものもあります。
例えば、生理の血などは、血管の外の血です。
このような血を「離経の血」と言います。
王清任という人は「離経の血はたとえ色が綺麗でもみな瘀血である」と言っています。
つまり一旦出血してしまった血は汚れであって、綺麗な血とは違い再利用は出来ないという意味です。
今は輸血がありますから、必ずしも離経の血がみな瘀血という訳ではなさそうです。

離経の血で、時間がたって固まってしまったようなものを陳久淤血といいます。
子宮内膜症、チョコレート嚢腫などがその良い例です。
普通の瘀血と陳久淤血では中医学的な治療方法も異なってきます。

いわゆる血液サラサラにするものは血管の中の血を綺麗にします。
血管の外で固まってしまった陳久瘀血には歯が立ちません。
このような場合はよく動物生薬を使います。
例えばヒル、ミミズなどです。

痰湿

中医学では痰湿という言葉があります。
汚れた水、脂、繊維などを意味します。
どちらかというと粘っこいものを痰、さらさらしたものを湿と言います。
喉から出るのも痰の一種ですが、中医学の痰は「体の中にたまった粘っこい汚れ」の意味で、とても広い範囲をさします。
脂肪肝とか、余分な皮下脂肪なども痰の一種と言えます。
湿は余分な水分で、日本の漢方では水毒という言い方もします。
むくみなどが代表的ですが、肺に湿がたまると喘息の原因になる事もあります。

生理の血

生理は西洋医学的には、脱落した子宮内膜と血液です。
では中医学的にはどのように考えるのでしょうか?
不妊症でとても有名な夏桂成先生は次のように言っています。
「私たちは長い間の実践、特に周期療法を行った上での観察で、生理の排泄物は表面上はただの血だが、実際は天癸水様物質と血海内の排除されるべき陳旧物質であるという事を発見した。
だから、前人は色々な書物の中で「経水」と呼び、癸水の重要性を表現している。」

癸は、日本語では「みずのと」で、腎陰を意味します。
生理の時は血と一緒に癸水が出てしまうので、腎陰が不足してしまいます。
ですから、周期療法では生理の後は腎陰を補うものを多く使います。

元気の意味

「お元気ですか?」と何気なく使っていますが、元気の意味はなかなか難しい。
まず気には、正気と邪気があります。
正気は体に必要な気、邪気は病気の原因になる体にとって不必要な気です。
正気には沢山の種類があります。
たとえば、体を守る衛気。
元気も、正気の一つです。
張錫純は「元気は腎に根基し、肝で萌芽し、脾で培養され、胸中の大気に貯蔵され全身に運ばれている」と言っています。

元気は原気とも言います。
元陰と元陽をあわせたもので、父母からもらった先天の気が飲食より栄養される後天気で滋生される。
また原気は「腎に発源し、丹田に蔵し、三焦の道をとおって全身に到達する。五臓六腑など一切の機関組織の活動を推し動かし、生化動力の泉源である」とも言われています。

こうしてみると、ますます訳がわからなくなってしまいます。
ただ、とにかく体にとって必要なものである事は確かです。

右半身と左半身

中医学では、痛みのある場所が右半身なのか左半身なのかによって陰陽を区別します。
例えば、左足が痛い場合は、左は陽に属するので純陽の鹿茸を使います。
右足の痛みの場合は陰に属するため、虎骨などを使います。

また、もう一つの考え方として、左は血、右は水と考えます。
中医学では内臓の配置として、心、肝、腎は左、肺、脾、命門は右と考えます。
左の心、肝は血との関係が深く、右の肺、脾は水との関係が深いものです。

左が腎、右が命門という考えは、難経から出た理論で、この理論とはまた違う理論です。
実際、その後の人たちは命門は両腎の間にあると言っている人もあります。
現代医学的には、腎陽をあらわす命門は副腎の事だという説もあります。
そうすると、左右の腎の中に命門が存在するという事で、両腎の間にあるという説の方が説得力があります。

アスピリンの中医学的な薬理

ちょっと古い文献ですが、中医雑誌の2014年に、アスピリンの中医学的な薬理を研究した論文が掲載されています。
150人の患者さんにアスピリンを使って、どのような中医学的な症状が改善したか調べました。
結果として、
 1.アスピリンは熱証の改善が寒証の改善よりも良い   アスピリンの薬性は寒涼
 2.熱実と虚熱での差はない              アスピリンは虚証にも実証のも使える
 3.陰虚と陽虚とで比べると陰虚の人に効果がある
 4.心の症状の改善に効果が良い            帰経は心
 5.胆の症状にも効果が良い              帰経は心と胆
 6.瘀血に対する効果が良い              活血化瘀
 7.それ以外にも気滞 気虚 気陥にも効果がある
 8.胃腸に対する作用はなく、胃腸の症状は悪化する場合もある

という事が解りました。
基本的には、予想通りでしたが、アスピリン以外でも調べてみると面白いと思います。

下痢の漢方

下痢の場合、漢方は比較的良く効きますが、使い方が大切です。
1.細菌やウイルスによるもの
  いわゆる胃腸風邪とかノロウイルスです。
  この場合、1番良く使うのがかっ香正気散です。
  これだけで対処できない場合はこれに黄連解毒湯、半夏瀉心湯、人参湯などを併用します。
  注意するのは、無理矢理に下痢を止めない事です。
2.腸の蠕動運動によるもの
  中医学的には気の流れの問題です。
  ストレスと関係します。
  お腹の脹りが強い場合は開気丸をよく使います。
  そうでない場合は、桂枝加芍薬湯を使います。
  また腸の中の水分が多い場合は一時時に五苓散も有効です。
3.食滞によるもの
  胃腸の消化能力を超えて飲食した場合です。
  中国では保和丸をよくつかいますが、晶三仙でも良いです。
4.脾虚によるもの
  体質的に胃腸がよわく、慢性的な下痢の場合です。
  健脾散顆粒をよく使います。
5.湿熱によるもの
  腸の中に湿熱という汚れがたまっている場合です。
  便が出てもすっきりしない事が多いです。
  この場合は、漢方は慎重に選ぶ必要があります。
6.冷えによるもの
  一時的にお腹を冷やしておこる下痢です。
  人参湯などをよく使います。

イライラ

イライラの原因は体内で「火」が強くなりすぎている状態と考えます。
主に、心火と肝火があります。
心火は不眠、動悸などを伴います。
そうでない場合は肝火です。
肝は五行では「木」に属します。
生の木は潤いがあり燃えにくいですが、乾燥した木はすぐに燃えます。
ですから、肝火が強い人は木に潤いが無いと考えます。
そこで、肝火を消す作用の漢方だけでなく、肝に潤いを与えるものを使います。
そうしないと、一旦肝火が収まっても、すぐにまたさいねんします。
肝火を消すものとしては「瀉火利湿顆粒」
肝を潤すものとしては「双料杞菊顆粒」などがあります。

血が足りない状態

血が足りない状態を中医学では血虚(けっきょ)と言います。
血が足りないというと、すぐに思いつくのが貧血です。
確かに貧血も血が足りない状態の一つです。
ですが、それ以外にも血が足りない状態があります。
それは血の量の不足です。

貧血は採血して、血液の濃度を測ります。
血液の量は測りません。
これに対して、中医学の血虚は採血はしません。
脈、舌の色、爪の色、生理の色と量、髪の毛などで判断します。
最近では血流計という便利なものがあり、それで測定する事も出来ます。

病院で貧血がないと言われても、血の量が足りなければやはり貧血と同じように問題がおこります。
この点は注意する必要があるでしょう。

漢方の副作用

漢方にも副作用はあると大きな声で言う人があります。
私はこれは正しくないと思います。
勿論、口に入るものですから、アレルギーのようなものはあります。

中医学は効き目を良くする工夫だけでなく、どのようにしたら副作用が出ないか、長い間研究されてきました。
その結果、体質や状態を判断て薬を使う、弁証論治という方法が考え出されました。
ですので、西洋医学の病名だけで薬を選んで弁証論治をしないと、体質にあわない事があります。
それを副作用と決めつけてしまうのは、なんとも漢方が可愛そうです。

卵管の汚れ

卵管が詰まっていると言われた方で、漢方を数ヶ月飲んでつまりがなくなっている事がよくあります。
よく使うのが、活血化瘀と理気化痰の漢方です。
この事から、血液の固まった汚れとか、繊維、脂の汚れが詰まっているのではないかと思います。

胃腸の働き

中医学では胃腸の働きを「脾」と「胃」に分けて考えます。
胃は食べ物を受け取り、それを腸に送ります。

ですから、下におりる働きです。
この働きが悪くなると、食べ物が下におりなくなります。
胃が脹り、けっぷ、胸焼け、便秘などが起こります。
逆流性食道炎などもこのケースです。

脾は、食べ物を吸収して、栄養を上に運びます。
この働きが落ちると、栄養が下に流れ下痢したり、胃下垂になったりします。
気が上がらず、栄養不足でやせて来たり、力が入りません。
下に降ろす胃と、上に昇る脾は明確に区別します。

主に胃に働く漢方が晶三仙、平胃散、健胃顆粒などです。
そして脾に働くのが健脾散、補中益気湯などです。
脾と胃の働きの区別を知っておくと漢方の胃腸薬の使い分けが出来ます。

火鬱発之

中医学ではストレスが溜まった状態を「気滞 きたい」と言います。
つまり気の流れが悪い状態です。
気滞が続くとイライラしてきます。この状態が「火鬱」です。
つまって、化熱してくる訳です。
普通の熱は、清熱といって冷やす漢方を使います。
ただ、火鬱の場合は治療方法が違います。
「火鬱は之を発せよ」という理論で、香りの良いもので発散されます。
ハッカ、紫蘇、パクチー、ネギ、ニラ、バジルなどです。
ベルガモットなど柑橘系のアロマもお勧めです。
清熱薬を使うと、熱はとれても気の流れがもっと悪くなってしまう可能性があるからです。

漢方の風邪薬

葛根湯は風邪薬で有名ですが、どんな風邪でもよい訳ではありません。
1番大切なポイントは「寒気があるか?」です。
次ぎに大切なのが「節々の痛み」です。
この二つがあればまず葛根湯を使って見て下さい。

銀翹解毒散は、あまり有名ではありませんが葛根湯よりも使う機会は多いです。
何となく熱っぽくて、寒気す少し、喉が痛かったり、喉が渇く感じがあります。
このまうな場合はまず銀翹解毒散を使って見て下さい。

胃腸風邪の場合は勝湿顆粒をまず使います。
吐き気、下痢、少し寒気やだるさを伴います。

この3つは常備薬としておいておくと良いでしょう。

中医学の火とは

中医学の概念の中で、気とともに分かり難いのが火。
壮火と少火。壮火はもえ盛る炎で体にとってはよろしくない。
少火は少しずつ燃える火で、体のエネルギー源。
そこで、「壮火は気を消耗し、少火は気を生み出す」という理論があります。

これ以外にも君火、相火、龍雷の火、陰火などがあります。
君火とは、心の火です。
これに対して相火とは腎の火です。
中医の理論では、五臓の中で一番偉いのが「心」です。
なにしろ心には「神」が住んでいます。
だから心は君子の臓、心火は君火なのです。
腎の火は命の蝋燭。
ミトコンドリアのようなものでしょう。
とても大切ですが、心火にはかなわない。
だから相火と言います。

不眠

今くらいの季節、花粉症とともに多いのが不眠症です。

不眠症は春と秋に多くなります。
春と秋は中医学では陰陽交代の時期と考えます。

春は陰が減り陽気が盛んになります。
陽気は覚醒作用があるので寝付きが悪くなります。

秋は夏に盛んになった陽気がなかなか収まらないと不眠になります。

寝る直前の入浴は陽気を助けるので良くありません。
青色の光も興奮作用があります。
寝る前にパソコンやスマホをやるのはよくありません。
寝る前は黄色やオレンジの光が良いでしょう。

五行について

中医学では肝は木に例えます。
真っ直ぐ太陽に向かって伸びていきます。
しかし、折れないように弾力があります。
心は火に例えます。エネルギーがあります。
脾は土です。万物を育む母なる大地です。
肺は金。熱に弱い、叩くと音が出るなどです。
腎は水。これは解りやすいですね。

木が燃えて火がおこります。
火が燃え尽き土になります。
土の中から金属が見つかります。
金属のまわりに水滴がつきます。
この関係を相生関係といい、先程の五臓にあてはめます。
例えば、肝は心の母で、心を助けます。
同様に心は脾、脾は肺、肺は腎を助けます。

木は土を抑えています。
土は水を制します。
水は火を消します。
火は金を溶かします。
金は木を倒します。
これを相克といい、力が強くなりすぎないように制御しています。
肝は脾をコントロールし、脾は腎を、腎は心を、心は肺、肺は肝を制御して、バランスを保っています。

臓と腑では、
肝と胆
心と小腸
脾と胃
肺と大腸
腎と膀胱
が表裏の関係になっています。
肺は免疫と関係してます。
大腸も免疫と関係しています。
小腸も心も第2の脳というくらい精神的な影響をうけます。
脾は気を持ち上げ、胃は気を降ろします。
膀胱の開閉を腎がコントロールします。

肝が強くなりすぎた時、肝を抑えるのですが、肝の性質は伸びやかなのが良いのであまり抑えすぎない方が良いです。
こんな時、心火をおさえます。
そうすると肺が強くなり、肺が肝を抑えてくれます。
その処方が左金丸です。
左は佐で、補佐の意味で、心火を抑えて肺を助けるという意味です

リラックスのツボ

ストレスに良いツボを2つ紹介します。

一つは内関。
手のひらを上に向けて、手首のまん中に薬指の先があたるようにします。
その時、人差し指の先あたりに押して痛い場所があります。
そこが内関です。
イライラした時などにマッサージして下さい。

もう一つは大衝です。
肝気の流れをよくしてくれます。
足の甲で、親指に向かう骨と人差し指に向かう骨が合流している場所の少し前の凹みです。
こちらもイライラする時とかにぜひ試して見て下さい。

舌苔について

舌の表面にある苔を舌苔と言います。
中医学的にはかなり診断の意味があります。
まず、厚さです。
苔が厚ければ厚いほど、汚れ(邪気)が多いと考えます。
反対に苔が全くないのも良くありません。
体に必要なものが足りないと考えます。

苔の色も大切です。
苔の色が白い時は、体が冷えていたり、体を冷やす邪気があると考えます。
苔の色が黄色い時は、体に熱がこもっていたり、湿熱などの邪気があると考えます。

舌が乾いている場合は、熱が、舌がしめつっている場合は冷えている事が多いです。

ただし、舌だけですべてが解るわけではありません。
舌以外の情報とあわせて弁証論治していく事が大切です。

一貫堂医学

日本式の漢方の変わり種として一貫堂医学があります。
人間の体質を3つに分けて治療します。
 臟毒証体質
  内蔵、特に胃腸に毒素がたまりやすい体質。
  太りやすく、生活習慣病になりやすい体質です。
  よく使うのが防風通聖散です。
 解毒証体質
  腺病質に近い体質です。
  リンパの流れに異常が出やすいです。
  リンパは中医学では三焦なので肝との関係が深いです。
  くすぐったがり、肌の色が浅黒い、扁桃腺が腫れやすい、アレルギーになりやすい体質です。
  柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯などを用います。
 瘀血証
  中医学の瘀血とほぼ同じです。
  一貫堂医学では通導散をよく使っています。

漢方の考え方

よく相談で、「血圧が高いから血圧を下げる漢方が欲しい」とか「飲むだけで痩せる漢方が欲しい」とか「血糖値を下げる漢方が欲しい」「多嚢胞性卵巣に効く漢方が欲しい」と言われる事があります。
ただ、これらはみな何かの原因があって、その結果なのです。
原因を考えないで結果だけを改善する事は出来ません。
中医学では、何故血圧が上がったのかを考えて、それに対して適切な方法を考えていきます。
そうすれば結果は自然に改善されていきます。

脾の働き

脾臓というと、西洋医学では何をしているか良く解らない臓器。
古くなった血液を分解しているくらいの認識です。
貧血などの場合は、脾臓を摘出してしまう事もあります。
それでも命にはかかわらないので、ちょっと大切にされないかも知れません。

中医学では脾は本当に大切な臓器です。
食べたものを消化する働きと考えます。
胃腸は中医学では、食べたものをただ受け取るだけのものです。
それを分解して、体に運ぶのが脾の働きです。
脾は体の中央に位置して、体を養っています。
脾の色は黄色。位置は中央。
黄色というのは、中国では1番高貴な色です。
皇帝は中国では黄帝と言って、いつも黄色い着物を着ています。
また中央に陣取って大地の母の土の性質を持っています。
生成数では、先天の生数に脾の5を足して後天の成数となります。

魂魄

中医学では、人間の能力を次のように定義しています。

魂は陽に属します。
人間の知力の意味です。
魄は人間の本能的な運動や感覚です。

意は初歩の認識
志は経験の積み重ね。やり方。
思はくりかえし考える
慮は経験から未来を予測する
智は上記の過程をふまえ正しく事物を処理する事

霊枢という古い漢方の本の中に夢に関する記載があります。

「邪気が心にあると丘や山の煙や火の夢をみる。
 邪気が肺にあると空を飛び、おかしな金物の夢を見る
 邪気が肝にあると山林や樹木の夢をみる。
 邪気が脾にあると丘陵や大きな沢の夢をみたり、壊れた家や風雨の夢をみる。
 邪気が腎にあると淵に佇む夢をみたり、水中で暮らす夢をみる。」

とあります。
これは五行の理論と関係があります。
五行の理論では、
心は火
肺は金
肝は木
脾は土
腎は水
となっているからです。

脈でいろいろ解ります

昔、検査器機がない頃は、脈は重要な診断材料でした。
慣れると脈でかなりの事が解ります。
例えば、高温期になると脈は滑になり、妊娠するともっと滑になります。
滑は流れが良い脈です。

痛みがあると脈はひきつったようになり、沈んできます。
風邪の時は大きくなり、時に浮き上がってきます。
不眠の方は脈が長くなっている事が多いです。
勿論、脈だけで判断する事は出来ません。
症状やら舌やら、総合的に判断する事が大切です。

季節と脈

季節によって脈は変化します。
冬の脈は深く潜った脈で、これを沈脈といいます。
一般的には細くて硬い脈になる事が多いです。

春になると脈は少しずつ表に出てきます。
その時に、すこし突っ張った感じの脈になる事があります。
これを弦脈と言い、春の代表的な脈です。

夏になると、脈はもっと表面に浮いてきます。
そして、太く大きくなります。
この脈を、洪脈といいます。
陽気の多い脈です。

秋になると、脈は少しずつ弱くなります。
ただ、まだ寒い分けではないので、脈は体表にあります。
ですので、浮の状態のままです。

脈は季節に応じて変化するのが良いとされています。
人間も動物なので、季節に順応する事が大切なのでしょう。

五行の理論で

中医学の五行の理論を応用して、生活に取り入れられると良いかなと思います。

ストレスがたまると気の流れが悪くて肝気が鬱結してイライラしてきます。
五行の理論では肝を抑えるのは肺なので、肺を鍛えます。
肺は白い色が好きなので、白い服を来たり、白い色の食べ物をたべます。
大根、白キクラゲなどが良いように思います。

胃腸が弱る場合。
胃腸は中医学では脾です。
脾の色は黄色。
ですから黄色い服を着たりすると良いです。
さらに脾の母は心です。
母は子を養うので、心を丈夫にすると良いです。
心の色は赤なので、赤い服も良いでしょう。
食べ物はニンジンカレーなんかどうでしょうか?

熊先生との対談

四川にとても有名な耳鼻科の教授で熊大経先生という方がいます。
日本に講演に来られました。
中医薬研究会の学術委員長なので、インタビューをしました。
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偉い先生ですが、全く威張らない、とっても気さくな先生でした。
中国では子供にもとても人気があるというのも理解できます。
ありがとうございました。、

顕微授精で生まれた男性の精子

最近、「顕微授精で生まれた男性の精子は良くない」という論文がありました。
確かにそうだなのと思います。
これで顕微授精は良くないと思うかも知れません。
ただ原因は顕微授精ではなく、顕微授精が必要なほど精子の状態が悪かったという事です。
論文は、20年前に生まれた子供を対象にしています。
今は精子の状態が良くても顕微授精をする事もあります。
ですが、その当時は精子が良い人は顕微授精をする必要はなく、顕微授精は行われなかったと思われます。
つまり顕微授精で生まれた父親は、もともと精子の状態が悪かったという事です。
精子の状態が良い人が顕微授精をした場合、その子供の精子が悪くなるとはちょっと考えにくいです。
勿論、今後の調査によりますが。

因果関係と相関関係

因果関係と相関関係は良く似たイメージですが、実は全然違います。
例えばAの状態の人はBになるというのは因果関係です。
Aの状態の人はBである事が多いというのは相関関係です。
因果関係の場合は、原因ともたらす結果です。
例えば、風邪をひいて熱が出たという場合、風邪が原因で熱は結果で因果関係があります。
では、コレステロールが多いと動脈硬化になるというのはどうでしょうか?
確かに動脈硬化を起こすと血管の中にコレステロールがたまってきます。
つまり動脈硬化とコレステロールには相関関係があります。
しかし、それだけでコレステロールが原因で動脈硬化になるとは言い切れません。
逆に動脈硬化になるとコレステロールが高くなるという理論もあると思います。
実際、最近コレステロールは悪者ではなく、血管を修復しようとしいてる大切なものだという考えも出て来ています。
何らかの原因で血管に傷が出来るとそれを修復しようとしてコレステロールが溜まるという考えです。
血管に傷をつける原因としては老化の他に酸化ストレス、炎症などが考えられます。
特に歯周病菌が原因ではとも考えられています。

蕁麻疹と排卵障害

排卵障害の方で、1年以上生理がなく、病院で排卵誘発の注射をしても排卵しない方でした。
ホルモン値から多嚢胞性卵巣症候群や卵巣早衰という状態ではなく、原因不明の様子です。
蕁麻疹もひどく、今は蕁麻疹がつらいとの事でした。
漢方では身体は一つのつながったものと考えます。
ですから、一つの病気を治すと別な病気が自然に治ってしまう事があります。
今回は排卵の事は考えず、蕁麻疹の漢方を使いました。
2ヶ月服用で、蕁麻疹は少し改善した程度でしたが、自然に生理が来ました。
基礎体温も高温期があり、排卵した様子です。
西洋医学的には説明が難しいのですが、体内に何らかの抗体が出来てしまいそれがホルモン系のバランスを悪くしていると言うような事があるのかも知れません。
私の考えでは蕁麻疹などは「宿風」という状態で風邪が体内に止まっている状態です。
この風邪は蕁麻疹という形になる事もありますが、他の状態を引き起こす事もあります。
今回はこの風邪を取り除く方法で良い効果が出たのではと思います。

嬉しい報告

お客さんから出産報告を頂きました。
プライバシー保護のため、内容を一部削除してあります。

「以前、漢方の内服をしていた者です。
ご連絡が大変遅くなりましたが、杏村に通うのをやめてすぐに妊娠し、無事に出産しました。

仕事のせいか、ホルモンバランスが整わず、月経周期も長く、無排卵のこともありましたが、漢方を飲んでから、基礎体温が綺麗になり、生理痛もなくなって、体調が良くなるのを実感していました。
しかし、子作りに対する夫婦間での温度差が大きくなり始めてしまい、一度区切りをつけようと、勝手ですが、通うのをやめてしまいました。
ですが、内服で体調が整い、卵の質が良くなっていたためか、間も無く妊娠が判明、無事に出産することができました。
適切な処方をしていただいたおかげで、子どもに会うことができました。ありがとうございました。」

肝脾不和と肝胃不調

五行の理論では、肝は木に属し、脾と胃は土に属します。
木と土は相克関係にあり、木が土を剋する関係です。
つまり木が土をいじめるのです。
中医学では肝は気の流れをコントロールしています。
ストレスなどがつづくと、木は横逆して土をいじめます。
土というのは、脾と胃です。
脾も胃も胃腸の消化機能の事ですが、意味が違います。
胃というのは、食べたものを受けて、腸に運ぶ働きです。
つまり、お腹が膨れて食べられないとか、食べたものが下におりて行かない、もっとひどい場合は吐いてしまう。
このような場合は胃に問題があると考えます。
脾とは、食べたものを分解して吸収します。
脾で吸収したものは肺に運んでいきます。
この事から、消化不良、下利、栄養が吸収できないなどは脾の病気と考えます。
胃は栄養以外のものを下に降ろす、脾は栄養を持ち上げると考えても良いでしょう。

ストレスなどで食欲が無くなったり、胃が痛くなる事はよく経験します。
ストレスで気の流れが悪くなり、肝に問題が出ると、相克関係から脾や胃に問題が出ます。
このうち、脾に問題が出た場合を肝脾不和、胃に問題が出た場合は肝胃不調と言います。
不和と不調はどう違うのかと言うと、違いはありません。
漢文というのは言葉遊びの部分もあります。
肝胃不和と言う言い方でも良いでしょう。

肝火上炎

肝陽上亢と間際らしいものとして肝火上炎があります。
肝陽上亢は、陰虚という必要なものが足りない状態を病機としています。
これに対して肝火上炎は火邪という邪気がある状態です。
症状は肝陽上亢に似ていますが、症状はもっと強くなり、イライラ、のぼせ、鼻血、耳鳴り、不眠などになってきます。
時に激しい目眩、頭痛なども伴い、血圧は高くなりやすいです。
肝陽上亢は慢性的な症状ですが、肝火上炎はそれよりは急性的な症状となります。
基本的には竜胆瀉肝湯を使いますが、時には黄連解毒湯などとも併用します。
また、肝火上炎が続くと陰液を消耗して肝腎陰虚を伴う場合もあります。
このような場合は杞菊地黄丸を併用します。

肝陽上亢

肝腎陰虚の場合、陰と陽のバランスがわるくなり、陰が陽を制止できなくなります。
そのため少なからず熱症状が出てきます。
この熱症状がもっと強くなり、頭の方にのぼって来た場合を肝陽上亢と言います。
顔があかくなり、のぼせたり、目が赤くなったりします。
イライラしやすくなります。
ただ、肝陽上亢は肝腎陰虚が原因になっている場合が多いので、杞菊地黄丸で対処できます。
熱症状が強い場合は少し清熱剤を使いますがあまり使いすぎると逆に陰を消耗してしまいます。

肝腎陰虚の症状

腎陰虚の症状としては、腰痛、尿が出にくい、のぼせ、ほてり、耳鳴り、口渇、舌が赤い、脈が細い、皮膚や粘膜の乾燥などがあります。

肝の陰虚の症状しては、目のかわき、目のかすみ、イライラ、不眠、自律神経失調などがあります。

この2つが同時にあるものを肝腎陰虚と良い、代表的な方剤が杞菊地黄丸です。

肝腎陰虚

広義の陰は、身体を構成している物質的なもの、目に見えるものを言います。
つまり身体そのものは陰になります。
広義の陽は、目に見えないけども動いている、働きがある、温かいものです。
相対性理論で言う、エネルギーが陽、物質が陰となります。

狭義の陰は、水のようなもので、身体を潤すもの、陽を抑えるものです。

肝腎陰虚の場合の陰は主には狭義の陰をさします。
狭義の陰は潤いですから、五臓六腑すべてに関係します。
でもその中では腎との関係が一番深いと考えます。
何故なら腎は陰と陽をコントロールする臓器だからです。
腎の陰が不足すると、全身の陰が不足しますが、まず最初に影響を受けるのが肝です。
肝腎同源という言葉があるように、肝と腎の関係は密接です。
肝も「体は陰、用は陽」という言葉があるように陰と陽のバランスが大切な臓器です。
体とは肝の本体、物です。
用とはその機能、働きの意味です。

さて、腎陰虚、肝陰虚が同時にある場合、これを肝腎陰虚と言います。
純粋な腎陰虚、肝陰虚は少なくて肝腎陰虚の状態が多くみられます。

弁証論治と理法方薬

中医学の基本的な考え方として「弁証論治」と「理法方薬」があります。
どちらも診断と治療の進め方について述べたものです。

弁証論治は、弁証と論治に別れます。
弁証とは証を弁別する事です。
病気がある時、病気の種類だけでなく、体質とか今の状態などを判断して「証」を決めます。
証については、今、このブログで解説中ですが、実に色々な証があります。
同じ病気でも証が異なれば治療方法も異なります。これを同病異治といいます。
また、病気の種類が違っても証が同じなら、同じ治療方法を用います。
これを異病同治といいます。
論治は弁証で得た証によって、治療方法を決めていく事です。

理法方薬は、治療の4つのステップを意味しています。
理とは、中医学の理論に従って診断する事で、弁証とほぼおなじ意味です。
法とは治療方法につてい作戦をたてるという意味です。
虚実が錯雑している時に先に去邪するか、先に扶正するか、また同時に行うかなどの手順を考えます。
去邪する場合は邪気の種類により、活血化瘀するとか、理気化痰するとか決めていきます。
治療方法が決まると次に使う方剤を決めます。
これが方です。
さらに方剤を使う時に、加減するのが薬となります。

弁証論治と理法方薬、言い方は違いますが、ほぼ同じ意味です。

心血瘀阻 しんけつおそ

心の血の流れが悪くなっている状態を心血瘀阻と言います。
血流が悪い状態を血瘀といい、汚れた血液を瘀血といいます。
ですから、心血瘀阻は心瘀血と言っても良いのですが、慣用的に心血瘀阻といいます。
このあたりが中医学が難しい点です。
中医学は文化的な要素を含んでいますので、心瘀血と言うとあまり中医学に詳しくないと思われてしまいます。
心血瘀阻の代表が心筋梗塞とか狭心症です。
心血瘀阻の場合、軽度なら冠元顆粒など植物性の漢方を使いますが、症状が長引いている場合は水蛭など動物性のものが必要になります。

肝鬱気滞 かんうつきたい

弁証は定位と定性からできていますが、前回の「気滞血瘀」のように定性だけのものもあります。
「何がどうなった」にあたるものが定性です。
例えば、気滞血瘀の場合、「気の流れが悪くなて、血の流れが悪くなった」という事です。
定位とは、何所でにあたります。
肝鬱気滞は、定位と定性の両方を持つ証です。
定位は「肝」で定性は「気滞」です。
気の流れを調整している場所としては主に肺と、肝があります。
この中で、肝の働きはとても大切です。
中医学では肝は疏泄を主るとされています。
疏泄の中で一番大切なのは気の流れの調整です。
ですので肝の疏泄の働きがうまく行かないと全身の気の流れが悪くなります。
この状態を肝鬱気滞といいます。
肝鬱気滞としてはイライラするとか、脇の部分が張る感じがするなどです。
よく使うのが柴胡疏肝散です。

気滞血瘀 きたいけつお

これから少し、中医学の弁証についてお話します。
弁証とは、要するにタイプ別の分類になります。
中医学では病名だけでお薬を処方する事は出来ません。
かならず弁証が必要になります。
弁証されるタイプを「証」といいます。
この証はいくつぐらいあるかというと、200位あります。
あまりにも多いので全部は説明しきれません。
いくつか代表的な証をご紹介していきます。

気滞とは気の流れが悪い状態です。
気とは目に見えなくて働きがあるもの。ホルモンとか自律神経、免疫などです。
これらのバランスが悪い状態を気滞と言います。
気はホルモン、自律神経、免疫など非常に広範囲なので気滞もとても広範囲です。
病は気からというのは、ストレスなどで気の流れが悪くなると、またそれが原因となり別な病気が起こるという意味です。
気は血の帥(すい)と言う言葉があり、気の流れが悪くなると血の流れが悪くなります。
血は自分一人で流れる事ができず、必ず気の助けが必要だからです。
こうして気と血の流れが悪くなると気滞血瘀という証になります。
気滞血瘀の改善には活血化瘀という方法が用いられます。
代表的な方剤としては冠元顆粒、血腑逐瘀湯などがあります。

五臓と数

五臓と数との関係で、数には生数と成数があります。
まず生数から説明します。
生数は生まれつき持っている数です。
1 腎
2 心
3 肝
4 肺
5 脾
となっています。
どうしてそうなったかは、はっきりとは書かれていません。
ただ、想像するに胎児の発育と関係していると思われます。
受精卵から胎嚢までは、父母の腎精から作られると考えられます。
ですから、腎が始めに作られます。
その次に心拍が確認されます。
そして母体内で肝も機能していきます。
生まれてはじめて呼吸をします。
そして、母乳を飲むのが一番最後になります。
ですから、この順番になるのではと思います。

さて、脾の働きです。
中国思想では、脾、つまり土は中央に位置して、すべての臓腑にかかわるものです。
数字でも、脾は特殊な意味を持ちます。
生数は生まれつきの数ですから先天です。
これに後天の精である脾、つまり5を加えて出来たものが成数です。
腎では1+5で6となります。
心は2+5で7です。
ここで奇数は陽、偶数は陰ですから、腎の成数は陰です。
生数が陽なら成数は陰になり、生数が陰なら成数は陽となります。
つまりすべての成数は陰と陽があわさっています。
中医学では、生物はすべて陰と陽が合わさって出来ていると考えているのです。
ですので、生数よりは陰と陽があわさり、脾の力のある成数の方が生物的には重要となります。

五臓と方角

五臓と方角を説明する前にまず、五行と五臓と色の関係ですが、
 木 肝 青
 火 心 赤
 土 脾 黄
 金 肺 白
 水 腎 黒
このようになっています。

方角については
 北は寒い、つまり水と関係があり、臓腑では腎となります。
 南は熱い、つまり火と関係があり、臓腑では心となります。

中国大陸から見ると、東は海です。
ですので、東は青。つまり肝と関係があります。
西は砂漠が広がっていて、白いイメージ。つまり肺と関係しています。

さて、中央は土、つまり黄色い色で、脾と関係があります。
そういう意味で脾は万物の母と考えます。
農作物をはぐくむ大地のような意味です。
このような訳で中医学では脾をとても重視しています。

前回の季節と方角入れると五行は
 木 肝 青 春 東
 火 心 赤 夏 南
 土 脾 黄 土用(長夏) 中央
 金 肺 白 秋 西
 水 腎 黒 冬 北
という関係になります。

五臓と季節

季節とご臟には密接な関係があると言われています。
例えば、
 春 は 肝 の季節
 夏 は 心
 秋 は 肺
 冬 は 腎
と言われています。

さて、五臓は5個ありますが、季節は4つしかありません。
そこで脾は、「長夏」もしくは「土用」に割り当てられています。
長夏とは、梅雨の時期です。
ただ、この考えはあまりしっくりしません。
そこで今では土用に当てはめる事が多いようです。
土用は季節の移り変わりの18日間です。
各季節にすべて土用があるので合計で72日間です。
この各季節の中にすべて土用があるという所が脾の特徴です。
脾は他の臓器を栄養しています。
ですので、他の臓器は脾が無いと活動出来ません。
つまり
 肝 + 脾 = 正常な肝 となります。
他の臓器も同じです。
ですので、脾を土用に当てはめるのはとても理にかなっていると言えます。